アテネ空港

    エーゲ海のイメージとはほど遠い、波風たつ海の上をトルコ航空は がたがたと揺れて飛んだ。
     
    ふっと横を見ると妻の額に汗がにじんでいる。相当ツライみたいだ。
    たぶんイスタンブールで食べた、あの夕飯がいけなかったんだろう。
     
    空港では診療所をさがして走り回った。
    不思議なもので、こちらの気迫を感じてか、
    係員はあらゆるセキュリティチェックを素どうりさせてくれた。
     
    空港ビルの地下の診療所で事情を説明。それでは、つれてこいとのこと。
    戻ると、妻は少し具合が良くなったようだ。
     
    さてさて、これからどうしたものか?
     
    予定では、今日中に船でお目当ての小島へ行こうと思っていたのだが・・・
    このまま、強行するか? それともせめてアテネで一泊するか?
     
    外の様子をうかがうとストライキだかなんだかで公共交通機関はすべてSTOP。
     
    「これじゃアテネにも行けないよ!」
     
    こんな気分とは裏腹に空は抜けるような青空。
     
    たまたま知り合った身軽な一人旅の小河さんはもういなかった。



     

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